ハリケーンってあんた、飛行機とぶんかいっ!!編(2)

スーフォールズ(Sioux Falls)飛行場でのこと(2)



そして今回。

もう二回目だし、サウスダコタで念願のバイソン(bison)も見ることができたし、うまくいきそうだと思っていたのだがそうはいかなかった。

フライト掲示板をみると欠航やら変更やらでスケジュールがグジャグジャになっている。10月22日にアメリカで発生したハリケーン・サンディ(Hurricane Sandy)のせいだ。

自分の乗る便はどうかと見てみると、予定通りになっている。しかし、飛行機は搭乗口に着いておらず、一向に搭乗案内もない。

ここスーフォールズ空港のロビーは雉子(キジ)撃ちの帰り客でいっぱいだ。

スーフォールズは雉子狩りで有名で、雉子は英語でファザント(Pheasant)という。ここには『スーフォールズ・ファザンツ(Sioux Falls Pheasants-Canaries)』という独立リーグプロ野球チームがあるくらいだ。雉子狩りはつい先日解禁になったばかりだった。

スーフォールズ空港にはいろいろな場所に雉子狩りの油絵が掛かっており、最初に見たときは何の鳥か全く判らなかった。雉子だと教えられて驚いた。雉子は日本の国鳥で優雅な鳥だと思っていた。桃太郎のお供をした雉子はとても凛としていて気品があった。

 

しかし、こうして狩猟という文脈で描くと逃げて飛び立つ雉子が、楳図かずおの扉絵のような、殺され掛けて必死に逃げ惑うような表情を浮かべている。色使いも毒々しい不気味な絵だ。価値観や信念体系の文脈というのは形への強制力を持っているのだなと改めて思う。

予定搭乗時間から30分が過ぎた。

隣に座っていた若者に聞いてみると1時間遅れだ、という。

1時間が過ぎた。

べつのおじさんに聞いてみる。2時間遅れだという。

てことはもうすでに次の予定のミネアポリスの便には間に合わないことになる。

カウンターにいって、おねえさんに聞いてみるとすんごい早口で聞き取れない。こうみえてもヒアリングは苦手だ。もう少しゆっくりとお願いしたがスピードは全く変わらない。他の便の案内もしてくれない。言っていることはなにかというと「あっちに着いてからその空港のカウンターに行って、適当な便を探して貰えば~」ということだ。いまは探せないのかと聞くと「天候次第だから、どうなるか分からないでしょ、結局あっちに着いてからのことじゃない、ふふん」という。

話にならん。このネエチャンは相手にしないことにする。

確かもう1人白髪の男性空港職員がいたはずだ。

ネエチャンが後ろに引っ込んで、代わりにその人が出てきた。

もう一度同じことを聞いてみる。するとすぐに検索をしてくれた。乗り継ぎは30分足らずしかないがなんとか間に合いそうな便があった。もし、これをあっちの空港に着いてからお願いするとして、ひとりふたりでも前に列んでいたら絶対間に合わなかった。

私が「本当に助かりました。ありがとうございます」というと、その定年間近の白髪の職員は私が日本人だからなのか、手を合わせて挨拶をしてくる。あわててこちらも合掌しました。

その後、カウンターを離れて席に座っているときも、この生き仏のようなご老人は、私の英語力のなさを哀れんでくれたのか、何度も私の所に足を運んで、新しいスケジュールをプリントアウトして持ってきてくれたり、次の次の便にまで私のことを連絡してくれていたのでした。

地獄に仏です。いやいやもったいないことです。

つづく


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