特別な一日――日々是好日(にちにちこれこうにち)

日々是好日(にちにちこれこうにち)


禅の言葉に「日々是好日(にちにちこれこうにち)」というものがあります。

雲門禅師(うんもんぜんじ)の言葉で、字義どうりに解釈すれば「毎日が良い日である」というような意味ですが、もう少し深い意味があるようです。

ある日、雲門禅師が弟子たちに向かって「十五日以前のことはさておき、十五日以後の心境を一言で述べなさい」と言いました。「十五日以前」というのはこの問いの時点で過去のことであり、「十五日以後」というのはまだ来ていない日々のことを指します。「さておき」と言っていますので、「十五日以前のことは関係ない」ということです。「心境」というのは「どのように感じるのか」というような意味でしょうか。しかも一言で述べなければならないという、かなり漠然とした質問です。そして弟子たちはしばらく考えていましたが誰もこの問いに答えることが出来ませんでした。そこで雲門禅師は「日々是好日(にちにちこれこうにち)」という答えを弟子たちに伝えました。

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この雲門禅師の問いの真意ですが、過ぎた日々のことを思い、それを判断し、その判断を規準としてこれからの日々のことを推測するという考え方そのものが禅の解釈ではない、と考えています。つまり、我々が過ごす一日一日というものをどのように受け止め、過ごしていったら良いのかということを教えるためにこの問いがあります。

我々はふだん、ある一日をとりあげて、今日は最良の日だった、今日は何もない穏やかな日だった、あるいは今日は最悪の日だった、とジャッジします。しかしそれは良いことがあったように思えた日、平穏に思えた日、あるいは問題を抱えたと思えた日であるということです。つまり、それはこれまで生きてきた経験というデータベースに基づく解釈でしかない、ということです。

雲門禅師はそうした解釈は無意味であり、日々生起していく事柄というものは、時間軸のある一つの点から眺めて、良いとか悪いとかということを言えることではない、と考えます。今日という日の出来事が一見とんでもない災いに見えたとしても、後にはそれが大事な転機であって、そのとき必要があって起こったということが判ることもあります。それは逆もまたしかりです。これは起きるあらゆる事象の完全性を理解している、ということです。

そういう意味では、日々の一瞬一瞬は自分自身の選択が次の現実を作る出していく貴重な瞬間であり、その都度、自分にとって最善と思える選択を続け、二度とない今日の一日を全身全霊で生きれば、それは「日々是好日(にちにちこれこうにち)」ということができます。それは自分が最善の選択を積み重ねることで、新しい現実を開いていくというような現在にフォーカスした生き方です。

これは禅の言葉ですが、スピリチュアルな観点から言えば、良い・悪いといった二元論的判断の無い状態――non-duality state(ノンデュアリティーステート)と言えます。

特別な一日


長い説明になりましたが、なにが言いたいかといいますと、こうした認識をいつも抱いて生きていて、それでも「人生にはとても素晴らしいと思える日」があるということです。

それはカーザ滞在中の2016年の8月24日[水]のことでした。

カーザの敷地にあるブックストアへツアーメンバーの方のお買い物にお付き合いして立ち寄ったところ、帰り際にブックストアで店長さんをやっているカルロスさんに入り口のところで会い、「ちょっと待って(Un moment)」と呼び止められました。カルロスさんはなにか用事を済ませて店に戻ってきたところでした。カルロスさんはジョアンさんの10番目の息子さんであり、私のお友達です。ツアーメンバーとブックストアに行くとツアーメンバーのために最近はよくディスカウントをしてくれます。ときどきなにか珍しいパワーストーンなども見せてくれるのですが、今回もなにか見せてくれるのかな、と思っていました。

するとブックストアの水売り場の方に回ってくれ、といいます。水売場はブックストアの外にある窓口のようなところです。ブックストアに常駐の英語の通訳者(店員も兼ねています)も呼ばれました。カルロスさんはポルトガル語しか話せず、私も早口のポルトガル語はほとんど聞き取れないのでいつも英語の通訳の方を介して会話をします。通訳の方と言っていますが最近店で働き始めて、アナポリスから通っている気さくなブラジルの若者です。

水売り場に行くとカルロスさんは窓口の中に居て、おもむろになにかを持ち上げて私の目の前に置きました。

2リットルのペットボトルをさらに縦横に伸ばしたほどもあるグリーンクォーツです。色むらがなく、深い絶妙な色合いで、クラックがほとんどありません。波動も非常に高く、目が吸い寄せられました。すごい石であることはすぐにわかります。これを私に買えということかな、と思いました。でもこんなに大きく、素敵な石です。一体いくらするのか想像も付きません。お金はツアー中になにかあったときのためにツアーメンバー全員がさらに二週間滞在できるくらいに余分に持ってきてはいましたが、この石を買うには足らないように思えました。

するとカルロスさんがなにかを言いました。通訳の方がいうには「あなたへのプレゼントだ」とのこと。

冗談と思い、冗談ですよね、と言ってみました。でも「違う」といいます。

私はなにもしていないので、これを貰ういわれはない、と伝えました。

するとカルロスさんが「ジョアンさんから渡すように言われた」とのこと。

えっ、ジョアンさん――愕然としました。

一瞬日本人に戻って「いや いや いや」と日本語で言っていました。

とりあえず英語で「NO NO NO」と言い直してみました。

頭が真っ白で言葉が出てきません。

「これは受け取ることができない」というようなことを言っていたように思います。

「滅相もない」を英語でどう言ったらいいのか――どうでもいいことを考えました。

通訳のお兄ちゃんが「もしアンタが受け取らないないんだったら、オレが受け取って、壊しちゃうよ。それでもいいのかーい?」――ほんとにつまらない冗談を言って一人でゲラゲラ笑ってます。

状況がほとんど把握できずにいましたが、カルロスさんは、これにあなたの名前の名札を貼ってここに置いておくので、もし持って帰れるんなら今持って帰ってもいいし、いつでも取りに来ていいよ、とのこと。

とにかくその石が私のものになったのは確かなようでした。

とても持って帰れそうにないので、とりあえず置いておいて貰いました。一緒にいたツアーメンバーの方が私とその石の写真を撮ってくれました。なにより驚きが大きく、半ば放心状態で、ポウザアダへの帰り道はなにを話していたのか憶えていません。

誰と向き合っているのか


ポウザアダの自室に戻って、起こったことをよく考えてみました。

カルロスさんは私にその石をくれたのはジョアンさんだと言いました。

でも、素の時のジョアンさんは実は私のことを全く憶えていません(T-T)。

まあ、毎日本当に大勢の人と会っていますし、ご高齢ですし、年に数回しか行かないガイドでは、なかなか憶えていただきたくとも難しいかと納得しています。今回のツアー中も素のジョアンさんに写真撮影をお願いして「いまはダメ」と断られています(その時ジョアンさんは庇護者の銅像に捧げられたハーブを自ら回収されており、手がハーブの瓶で一杯だったので断られて当然なのですが――)。

ではこの石をくれたのは誰なのかということを考えると、行き着く答えはエンチダージしかありません。このことに気付くと強い電流のような喜びが全身を駆け抜けました。もし、自分のオーラが自分で見えたなら、きっと普段の3倍くらいの大きさになっていたと思います。

私のすべての過去、最初の出会いから、これまでやってきたこと、今やっていることも含めてエンチダージは私のことをつぶさに把握しています。私もなにも包み隠さず、打算なく、何か起きればその都度エンチダージに問い合わせ、ツアーを続けてきました。エンチダージと一対一で向き合ってきたということです。それは胸を張っていえます。そして私のやってきたことを理解して貰えたと思うと涙が出てきました。

苦労話などをするつもりはありません。これまでの試練は私がエンチダージに「私がカーザのガイドとしてしっかりやっていけるように必要な事をお願いします」と言ったからです。

グリーンクォーツを貰った意味もわかります。エンチダージは私のオーラの色がグリーンであることを分かっているからです。

そしてカルロスさんが最後に言っていた「これはカレントルームに置いてあったやつだよ」という言葉がなんども頭の中を巡っていました。

カレントルームに設置されたクリスタルの価値をお伝えすることはなかなか難しいのですが、カレントルームというのはただの瞑想室ではなく、ヒーリングエネルギーの巨大な流れを作る装置です。カレントルームには色々な種類の特に大きなクリスタルばかりが集められています。どういったクリスタルが適切なのかは、エンチダージによって注意深く選別された後、プログラムされ、それぞれ個別の機能を果たすことになります。カレントルームにおけるクリスタルの配置は適当に置かれたものではなく、エンチダージによって配置されたものです。つまりついさっきまでたくさんの人々の肉体と魂を救っていた石であるということです。

そしていま私の手元に迎えるに当たって一体どんな新たなプログラムをエンチダージはしてくれたのでしょうか。

うれし涙は止まりませんでしたが、いまはツアーの最中で重いご病気の方もいることを意識しました。そして次のツアーも決まっています。また「日々是好日」の認識に戻り、なにがあってもエンチダージとの繋がりを強く太くしていこう、癒やしを必要とするたくさんの日本の人々をカーザとつなげようと、決意を新たにいたしました。そしてこの石を持つのにふさわしいガイドになろうと思いました。それでも、いまはほんの少しの時間だけ喜びの余韻に浸っていたいと思いました。

これがその写真です。
改めて重さを量ってみたところ、16キロを越えていました。

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ツアーメンバーとの集合写真にも持って行ってみました。この写真はもちろんエンチダージ入っているジョアンさんではなく、午後のセッションを終えてお疲れのジョアンさんですが、とてもお元気そうです。昨年9月に胃の手術をしたジョアンさんですが、今年に入って徐々に体力を回復されてオーラが次第に以前通りに大きくなっていったのが判り、心からうれしく思っております。お体をいたわられているようで、ジョアンさん御自身もクリスタルベッドをご利用になっています。ツアーメンバーの一人の方がクリスタルベッドのセッションルームに入っていくジョアンさんを見かけた、とのことでした。

私の写真ですが、貰ったグリーンクォーツが重すぎてなぜか口が半開きになってしまいましたので、皆様のお目汚しかと思い、隠してみました。

 

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カルロスさんとも一緒に撮ってみました。カルロスさんもすごく喜んでくれました。

以上、うれしいご報告でした。

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